2021表彰者インタビュー③:国際基督教大学 泊 寛太 監督(優秀チームマネジメント賞)

レポート

 第54回東京都大学サッカーリーグの表彰式インタビュー企画第3弾(最終回)は、優秀チームマネジメント賞・国際基督教大学から泊 寛太 監督になります。競技成績以外にフォーカスした一般的にも珍しい賞。受賞のキーポイントとなった、監督と学生との関係性について取材しました。(インタビュアー:学生幹事・荒井敬介)


ーまず最初に優秀マネジメント賞、受賞おめでとうございます。賞状を受け取り、改めていまの気持ちはいかがでしょうか。
 こうやって表彰をされて、もちろん2部の昇格を競技の成績でしっかり決められたことっていうのもそうですし、特に最後に優秀チームマネジメント賞という形で特に中心に運営委員のみんなとマネージャー、いわゆる競技のところを直接関われない方々がしっかり評価をされて、表彰をこういった沢山の大学の皆様の前で表彰されたということは非常に嬉しいと思いました。

ー監督を就任してからリーグ戦成績、17戦12勝4分1敗、就任当時は4部リーグでしたが2年連続の昇格で来季から2部で戦うことになります。この2年間を振り返ってみてください。
 僕はサッカー部の監督という立場ですが、本当に学生たちとはラフに関わっており、それこそ学生のみんなが僕にタメ口を使うような関係性で、一緒に学生のみんなとチームを作ってきたという2年間でした。そのため、僕が(チームを)作ってきたという感覚が全くないのでそういったところで言うとみんなと作りあげてきた2年間が結果として形として出たというところは本当に僕の人生にとってもすごく大切な2年間になったという風に感じております。

ー今シーズン限りで監督を退任する意向の表明を出しております。その背景に自分の仕事に自信を持てない葛藤があり退任を決断したと発言しておりました。大好きなチームとのことでしたが、大好きが故にチームのことを常に思い責任が重い仕事だったとも振り返られるでしょうか。
 どうですかね。僕個人としてはいまの組織の構造上、僕1人で基本的にトレーニングを進めているのですが、もちろん僕1人で自由に決められている部分はメリットとしてありますが、やはり僕がなにかミスを犯していたりとか、必ずどの監督も盲目的になると思いますのでそこに誰も指摘してくれる人がいないというところで、もちろん2年間を結果として出せてはいますが、本当にみんなに対して良いトレーニングだったりとかをしっかり提供させてあげていたのか、学習させていたのかというプロセスを踏めていたのかどうか、結果としては100点だったと思うのですが、プロセスでいうと本当にそれが100点だったのか、はたまた0点だったのか、という基準が僕の中には存在していなかったので、それは今後僕がサッカー指導者で続けていく中でとても怖いことだと思っています。来季の継続オファーも学生の方から頂いていましたが、僕自身もしっかりと個人としての成長をしていって、僕が今後関わるサッカー選手たち、一緒に作りあげていく仲間たちと一緒に幸せになれるように自信をつけたいと思い、次のステップに挑戦する決断をしました。

ー「幸せ」という言葉が出てきましたが、SNS上でも最近では「幸せ」という言葉を強調していますが、コーチ時代を含めた3年間、チームを通してどのような幸せという価値観を見つけた、感じられたでしょうか。
 これはもう完全に個々人によって変わってくると思っていて、シーズンを通してみんなに「君たちはここ(サッカー部)で何がしたいんだ?」というのを伝えて、考え続けよという話しをしました。これは、なんで大学でサッカーをしているのかという問い方だと、基本的に理由は無いものです。しかし、色々な選択肢がある中でわざわざサッカー部に入って大学生でいれる時間を費やすと決めたのであれば、そこで何をしたいのか、ここでサッカーをやる意味というのを考えて欲しいという風に思い、それをずっと伝えてきました。それは即ち、幸せに、それをニアリーイコールに近づくと思いますし、僕もみんなと一緒にここで何がしたいのかというのを考えながら取り組んでいました。2年間、去年は4部優勝で昇格、今年は3部2位で2部昇格を決めましたが、決めた次の日って別に人生において何も変わりません。もちろん、目指していた目標を達成して嬉しかったのはありますが、やはりそこではなくて、本当に1日1日のみんなと過ごす時間とか、トレーニングしていく時間とか、練習終わった後にみんなで駄弁ったりする時間とか、そういった時間をもっともっと幸せに感じて欲しいと思っています。こういったことが『幸せ』なんだと僕は思いました。最初に言った通り、個々人によって違ってくると思います。そのため、みんなで考えて欲しい、そうでなければ無駄な時間を過ごす可能性が出てきてしまうので、みんなに伝えていました。

ー東京外国語大学サッカー部を率いる木室監督からもSNS上にて試合中のチーム雰囲気が良いと絶賛しておりました。采配以外にも第三者から見ても雰囲気の良さが伝わるチーム作りにも徹していたと伺えますが、どのようにしてそのようなチームを作り上げてきたのでしょうか。
 チームのみんなも記事を見ると思うので、これを正直に話すのは小っ恥ずかしいことではありますが、やはりゲームに出場する選手というのは基本的には重要視されると思っています。やはり競技面で優っていくためには能力は必要ですし、必ず彼らがクローズアップされると思うのですけど、彼らだけでサッカーって本当にできなくて、僕は勝つためにBチームの選手だったり、はたまた直接競技に関われないマネージャーの存在というのを意図的に際立たせていました。綺麗事で「みんなで勝ちましょう」、ということではなく、そういったチーム全体で、ピッチに立つ選手はピッチに立たない選手のため、そしてマネージャーのためにとかそういった気持ちを持てるチームではないと勝てないと思っていたので、しっかりとみんなで掲げた目標を達成するためにそういったマネージャーだったりBチームの選手の振る舞いの部分もみんなの前で敢えて強調して伝えたりといったマネジメントをしました。みんなと戦って、この勝利はみんなのものなんだよという価値観をみんなと共有できるような、Bの練習の前だったり後に話したり、それこそSNSの投稿は学生も見ているのでそういった面で意図的に際立たせていました。


 今年から東京都大学リーグでは競技面のみならず、日々のチーム運営や公式戦の運営についてフォーカスし、強化しております。そんな中新設された「優秀チームマネジメント賞」。チームに所属する様々な関わりをする人々によって、チーム・リーグは成り立っており、 「試合に勝てばいい」だけではなく、総合的に「強い」チームの輩出を目指します。来シーズンも各チームがフィールド以外でも切磋琢磨することで、魅力ある東京都大学リーグとなればと思います!国際基督教大学の皆さん、おめでとうございました!